そろばんやりたい
3年生のクラス替えで、私は愛ちゃんと同じクラスになった。
愛ちゃんのおばあちゃんに会った時、またよろしくねみたいな話になって、また遊びたいなという気持ちになった。
でも、愛ちゃんちに行くときっと友子ちゃんがいるよな…
意地悪姉妹は年子だったのでどちらも卒業して、班長は別の上級生になった。まあ、その前に・・・。
近所に引っ越してきて同じ登校班に入った2つ上の女の子とその弟が私を超える遅刻魔で、その頃には私ではなく姉弟が「早く来いよ!」と英樹君にどやされる対象になっていた。
とはいえ・・・。迷っていてなかなか遊びに行くことができなかった。
そんな時、愛ちゃんがそろばん教室に通っているのを知って私もそろばんをやってみたくなった。
祖母は勉強に関することをやりたがるのは反対しないので、早速、愛ちゃんの通ってるそろばん教室に見学に行くと、そこは先生の体調不良で教室を閉めるという。
そこで、近所の別のそろばん教室に入ることになった。偶然にも同時期に友子ちゃんが入ってきた。
最初はお互いに距離があったけど、私はだんだん友子ちゃんと話すことが増えた。
遊ぶな!の理由・・・。
あの遊ぶなと言われたことについて私は友子ちゃんに聞いてみた。
祖母はランドセルを蹴られたことに腹を立てて文句を言いにいったのだが、友子ちゃんのお父さんに「毎日遅刻してくる方も悪い!」とやり返されていたのだった。
友子ちゃんのお父さんも正論をはっきり言うタイプだった。
祖母はバツが悪くなり遊ぶなって言ったのか…
友子ちゃんのお父さんとお母さんも、友子ちゃんや英樹君を怒るとき怖いもんな・・・。
友子ちゃんも私と遊ばないように言われていたので、私たちはコソコソとまた仲良くしつつ、どちらの家にも嫌われないようにビクビクしながら笑顔で取り繕った。
そうしているうちに、だんだん友子ちゃんの家に行っても親も嫌な顔をしなくなったし、私の祖母も友子ちゃんに普通に接してくれるようになった。
色々あったけど良かったと、また遊べるようになって嬉しかった。
そして愛ちゃんも、今までの教室が閉まるので同じ教室に入ってきた。
私たちはまた3人で遊ぶことが増えてまた前のように仲良く過ごした。
とはいえ友子ちゃんの家に遊びに行く時は、お父さんとお母さんの顔を伺いながら、英樹くんがいる時には友子ちゃんの家には近寄らないように、お互いに気を使いながらまた友達としての付き合いが再開したのだけど・・・。
今度こそ嫌われないようにうまくやらなくちゃ!
お下がりのそろばん
そろばん教場は夫婦とその弟子の3人先生がいて、何件かの教場を持っていたのでいつも違う先生が教えてくれた。
小学生なので、まず10級からスタートしてだんだん難しくなるのだが、合格すると級のシールをそろばんの上に貼ってもらえる。
私はそろばんを買ってもらえなかった。孝伯父さんが学生時代に使っていた色の変わったお下がりを渡されて祖母に「これを使いなさい」と言われた。
教場ではみんながおそろいのカバンを使っていたが、これも先生が「おばあさんから頼まれたからこれ使って。」と誰かのお古を渡された。
これも色あせた教場の名前のプリントもハゲかかっていて私は恥ずかしかった。
「またか・・・。」
友子ちゃんも愛ちゃんも雪ちゃんも、みんな新しいカバンだ。愛ちゃん雪ちゃんは前の教室で使っていたそろばんだけど、友子ちゃんのはピカピカのそろばんだった。
なんだかいつも貧乏くさくて惨めだったけど、初めて習うそろばんは楽しくて私はみんなより先にどんどん級を進めた。
結局3級を取って辞めてしまったけど、合宿があったり、クリスマス会があったり、イベントもたくさんあって楽しかった思い出でもある。
先生の子供たち
先生にはわたしたちより年下の子供がいて(何歳くらいだったか忘れてしまった・・・)
日曜日のそろばんの時間に姉弟のどちらかがいつも一緒にきて私たちの教室でそろばんをしていた。
先生は私たちにも結構厳しかったが、実の子にはもっと厳しくて小さいのにすでに2級や1級の問題を解いていて、一問でも間違えると叩かれていた。
「こ・・・こわ・・・。」
私もよくテストの成績が悪くて叩かれたり怒鳴られたりしていたので、泣きながらそろばんをはじく姉弟を見て「可哀想だな・・・。」という気持ちと「ウチより酷い・・・先生の子じゃなくてよかった・・・。」といつも思ったものだった。
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